こんにちは、葉坂です。
早速ですが、みなさんは顧客管理を何でやっていますか?
顧客管理をExcelでやっている企業もまだたくさんあるかと思いますが、近年、CRM(パッケージライセンス)市場を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。
Salesforce.com、IBM、Oracle、Adobeといった大手ITベンダーがマーケティングオートメーション製品を手に入れ、CRM機能の拡張、または統合管理する動きが活発です。
- IBMによるSilverpopの買収(2014年4月)
- OracleによるResponsysの買収(2013年12月)
- Salesforce.comによるExacTargetの買収(2013年6月)
- AdobeによるNeolaneの買収(2013年6月)
- OralcleによるEloquaの買収(2012年12月)
- MicrosoftによるMarketingPilot の買収(2012年10月)
この流れに共通していることは、データを「蓄積・分析」することから「活用」することへシフトしているということです。
そこで、どのように蓄積したデータを「活用」していけば良いのか、Webマーケ担当者が抑えておくべきことを3回に分けて紹介していきたいと思います。(第2回「目的別:オウンドメディア連携しやすいCRMまとめ」、第3回「CRMとオウンドメディアの連携。考えるべきポイント」)
まず1回目となる今回はCRMの基本です。
CRMとは?
そもそもCRM/顧客管理とはなんでしょうか。CRM(Customer Relationship Management)は、日本語では「顧客管理」と呼ばれます。単にCRMと呼ばれる場合、「顧客管理システム」を指すことも多いです。
顧客管理は、顧客データ(顧客情報や売上情報など)を管理するだけにとどまらず、顧客の活動履歴や行動履歴に関係するデータと合わせて分析し、それらのデータを活用することで、顧客と「長期的な関係を維持する」ことといえます。
顧客管理システムには、膨大な顧客データだけでなく、購入履歴やメール配信履歴、セミナーへの申込や参加履歴、営業の訪問履歴、問い合わせなどの活動履歴といったデータが蓄積されます。
また、顧客の行動履歴には、デモグラフィック(年齢・性別)やジオグラフィック(地域)、サイコグラフィック(性格や好み)までの情報が含まれます。これら取得したデータを分析し、顧客単位での最適な商品、サービス、ソリューションを提供することで、顧客単価を高めたり、長期的な関係を維持する施策が行われることなります。
CRM導入のよくある目的
顧客管理システム(CRM)を導入する目的には以下のようなものがあります。()内は業務担当者になります。
- 大量の顧客情報のデータ化(営業担当者や管理業務担当者)
- 営業の効率化(営業担当者)
- マーケティング活動やROIの把握(マーケティング担当者)
- サポート業務の効率化や収益化(顧客サポート担当者)
- 顧客データの分析やレポーティング(経営層やマネージャー層向け)
上記の目的を達成するにはExcelでも可能ですが、顧客の活動に関わる全てのデータを集約して管理しようとした場合、顧客管理システム(CRM)を利用するほうが効率的です。
また、CRMが優れているのは顧客の情報管理だけでなく、様々なデータを横断して分析することで、各顧客の状態に合わせて、メールマガジンの内容を変えて配信したり、顧客のニーズにそったサービスやソリューションを適切なタイミングで届けることが可能になるという点です。
会社内部では、顧客データが統合管理されることにより、経営層、営業、マーケティング、顧客サポートなど、従事する仕事に合わせてそれぞれ必要な機能を利用することが可能になります。
CRMの基本的な機能
CRMと聞くと営業支援系の機能(顧客情報、担当者情報や商談管理など)を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか?CRMの基本的な機能は、上記のCRM導入の目的を達成する機能が集約された形となります。主な機能としては、
- 営業支援(商談管理、タスク管理、見積管理、売上予測など)
- マーケティング支援(マーケティング活動、マーケティングROIなど)
- 顧客データの分析やレポーティング
- 顧客サポート支援
- ワークフロー管理
- データ管理
- 在庫管理
- 外部サービス連携
となります。
最近の流れとしては、これまで効率的な売上拡大を目的としての営業支援の役割がCRMの中では大きかったですが、冒頭でも触れたようにマーケティング支援の重要性が高まっています。
マーケティング活動においては、まずは見込み客を獲得し、商談化につながるよう見込み客を育成することが必要ですが、その過程において、顧客データとWeb上の行動履歴を一元管理することで顧客単位できめ細かな対応が可能となります。これを実現するには高度なMA(マーケティング・オートメーション)が必要となり、CRMベンダーによるMAベンダーの買収が続く要因といえるでしょう。
また、外部サービス連携としてはFacebookやTwitterなどのSNSがありますが、SNS側で保持しているプロフィル情報をどのように活用していくのか今後注目したいところになります。
なぜ今、CRMが注目されているか?
これまでのCRMは顧客データベースや営業支援という要素が大きかったのですが、マーケティング活動(「見込み客の獲得」⇒「見込み客の育成」)を最適化するには顧客データとの連携が必須なため、顧客データをどのようにデータ活用できるのかという視点でCRMが注目されているといえます。
マーケティング活動はWeb上での行動履歴と密接に連携するため、マーケティング支援機能とWebそのものやWeb解析・改善ツールなどがスムーズに連携することが必須となります。マーケティングオートメーション(MA)のベンダー達はCRMにWeb上の行動履歴を顧客データベースに蓄積することが可能です。そして、そもそも商談にいたる良質な顧客を獲得したり、顧客データベースの中から抽出できる機能が今後CRMと連携していくと思われます。
自社のターゲット顧客(商談にいたる顧客)に自発的に見つけてもらうにはオウンドメディアの構築が必要となってきます。そこで次回は「目的別:オウンドメディア連携しやすいCRMまとめ」と題し、オウンドメディアとCRMの関係を探っていきたいと思います。